……is a hooligans game, played by gentlemen
老いてなおヤンチャであれ
週に一度の楽しみ。
(NHK 毎週土 20:15〜20:43)
大阪の街で日雇い労働者として明日なき日々を過ごす丸川(高橋克典)。
彼はある事件で懲役生活を送り、出所後に妻と幼い娘の前から姿を消した。
夏のある日、河川敷で自ら人生に幕を引こうとしたところに飛びこんできた楕円球。
彼は長らく"音信不通"だったラグビーと『再会』し、人生が再び回り始める。
暗い?
ええ、暗いところも。多分に。
でも暗いからこそ光が見えるのです。
そんなドラマ。
自殺寸前、主人公は高校時代に汗と涙を流したラグビーと再会するのですが、このラグビーというのが『不惑ラグビー』でした。
不惑ラグビーとは不惑、つまり主に40歳以上のメンバーで構成されるラグビー。
日常生活ではあまり馴染みのない言葉ですが
四十(しじゅう)にして惑わず
人は40歳になれば道理を知って迷わないという意味でして。
40歳。私は確実に惑いまくりでしょう。
でもこの言葉ができた頃は今よりもずっと寿命が短かった時代ですから、現代は50歳以上に換算してもいい気がします。もっと上?
私の中ではヘッドハンターとギボムスを抑えて今年イチ。
もはやNHKの回し者よろしく以下に魅力を列挙します。
①惑いまくる不惑
このドラマの不惑メンズは皆惑いまくっています。それが最大のポイント。
不惑といえど惑うことはある。たくさんある。なんならずっと惑う。人間だもの。
嫁に逃げられ年頃の娘と二人暮らし、亡き妻の影と過去の挫折、望まない昇進、元・犯罪者をチームに受け入れるか否か等々てんこ盛りで惑ってます。人間らしく。漢らしく。
②28分間に凝縮された人生模様
話の本線は主人公の丸川が傷害致死という重い前科を背負いながら、ラグビーという光に出会い立ち直っていくというものですが、前述のとおり各話毎にメンバーが葛藤を乗り越えていくサブストーリーが展開していきます。
これを28分間という短い尺でキッチリ魅せてくれます。キャストのみならず制作陣も相当なベテランが集まっているようで納得。まったく無駄なし。
③試合がショボくない
主演の高橋克典氏や松尾論氏をはじめ、ラグビー経験者が何人かいらっしゃり、スポーツドラマの宿命である試合シーンのショボさがないのも魅力。
これは私自身、高校時代にOBの不惑チームに稽古をつけていただいた経験からも本当にそう思います。ラグビーの持つ魅力、十二分に伝わります。
私はスクラムハーフ役の徳井優氏がスクラムからボールをバックスに回すシーンが懸命で大好き。
酸いも甘いも全部のせ。この方なくしてこのドラマは締まらなかったでしょう。私は全盛期を知りませんが、なかなかの豪傑というか凄まじい方だったようで。
『ハンズアップ!』
シビれました。
⑤ラグビーが好きになる
これがこのドラマの存在意義の全てと言っても過言ではありません。
全部詰まってますから。ナニが?
漢の全部。ラグビーの全部。
きっとラグビーを見たくなる。きっとラグビーが好きになる。きっとラグビーがもっと好きになる。
老いてなおヤンチャであれ。
私もそうありたいです。いや、あってみせる。
まだ他にもあるのですが、自主的文字制限2000字が見えてきたのでこの辺で。
そうです、今週でおしまい。
もっと早く書け?
おっしゃる通り…。
でも28分×6話=168分。長いファンタジー映画1本と変わらぬ尺。
NHKオンデマンドをU-NEXT経由でお試し視聴でもして見てください。もしくは嫁を質に入れてでも見てください。
土曜午前1時10分(金曜深夜)から前回の再放送も。ぜひ。
前回放送では、世界的に高名な大作家に『参った』をさせたあの伝説の試合もドラマのワンシーンで登場。
私も3年前、あの試合に出会って息を吹き返したというか、『ラグビーをやったことがある』ということの意味に『再会』できました。
最近またヤル気スイッチが息を引き取ろうとしたところ、このドラマで『再会』です。
来年はW杯が日本で開催。
私も壮大な勘違いでもしてナニかやってみようかなと思ったり思わなかったり。ヤル気スイッチ。
今年もラグビーシーズンが開幕。
ドラマを見たら観戦にも足を運んでください。きっと他のスポーツに戻れなくなりますから。
老いてなおヤンチャであれ。
ではまた来週、ごきげんよう。