僕は必ずその少し斜め下を行く

遊星より◯◯をこめて

See you again


彼はもうその世界にはいません。
次の世界へ歩みを進めたからです。
だから手短に。おじさんの独り言。

一年前の今頃。
とある闘いのとあるリーグ戦に彼は出ていました。
私は開幕当初、彼にほとんど注目していませんでした。
既に闘う眼を持つ彼の同期やその絶大なインパクトでその世界を賑わせていた先輩がいたからです(その先輩はリーグを制した後どこかへ行ってしまいました)。

迎えた最終戦
彼はお互い優勝の可能性も消え、お互いに初勝利を目指す同期との一騎打ちに臨みました。
その後行われた決勝戦を食ってしまうほどの激闘。
極めて原始的な魂の闘いにおじさんは心を強く揺さぶられました。

同期と引き分けた後、彼は誰に作られたわけでもない、飾るわけでもない自分自身の言葉で話しました。

『俺とあいつは誰よりも第1試合を闘っている』

他にもいい試合はありました。
けど、彼の最終戦と彼の言葉がベストです。
その世界の『顔』が彼を連れてきた理由がわかった気がしました。

今年、そのリーグ戦はありませんでした。
さらに彼自身はその世界から去ることを決断しました。

彼のサイン会で色紙にいただいた「『王様』への一言」はついにその世界において達成されることはありませんでした。けど、きっとあの王様ならいつかこう言ってくれることでしょう。

『なんだ、辞めたガキが随分と大きな実ぃつけやがったな…それよこせ!』

ぜひともそうなってほしい。
大丈夫、あなたなら。
お疲れ様でした。
闘いの傷が癒えたら、また走り続けてください。
本当にありがとうございました。